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僕らの人生を変えた世界一周
TABIPPO いろは出版 2013-12-26
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「世界一周の夢を、捨て切れない人」必見
この本を読んだきっかけ
学生の頃に考えていたこと。「世界一周ってどんな感じなんだろう…でも、ごく普通の自分なんかにはできないだろうな」
そうして気がついたら就職活動が始まり、会社で働き始めていました。学生の頃にあった湯水のような時間はなくなり、もう簡単には旅立てないのだという現実。そうしたとき、目の前に現れたのは言葉では形容しがたい程の虚無感でした。
そんな時に出会ったのが本書です。様々な境遇や思いを持った15人の旅人が、なぜ旅に出ることになり、旅先で何を見てきたかが描かれた短編旅行記。
数ある世界旅行記本の中でもこの本を選んだ理由は、① 写真ではなく文章ベースの物語性。② 15人の旅行を疑似体験できること。③ 突き刺さる短い言葉が多い。という3点です。
さて、今回はこの本にこんな問を立ててみました。
- 安定した生活を捨ててまで旅立った理由とは?
- 旅中に出会った衝撃とは?
- 世界一周を終えて人はどう変わるのか?
それでは、次の項から読書を通して得られた答えを記していきます!
① 安定を捨てて旅立つ理由
・本気から逃げ続けた自分に
そしたら急に、就活という波がやってきて言い出した。「そこそこの人間に待っているのは、そこそこの人生だぜ」本当は知っていた。見て見ぬフリをしていただけ。何をやっても中途半端で、退屈な自分を周りのせいにして。
・後悔の日々を暮らしていた
ガムシャラに働いていた20代、気づけば30歳を過ぎていた。夢だと思っていたワーキングホリデーの期限が終了。過ぎてしまえば後の祭り。後悔の日々。(俺は夢だと勘違いしていただけだったのか?)
・自分には可能性があったから
看護師という、一生働いていける専門職。充実した人生を送りながらも、(本当にそれでいいのかな?)(他の生き方もあるのかも)自分の人生にもっと大きな可能性も感じていました。
② 旅中に出会った衝撃
・景色の美しさ
数ヵ月前まで 、灰色の天井を見上げてばかりいた僕が、地球の裏側で、赤い夕日を見て涙している。ひきこもりの住人から、世界一周の旅人になって、自分の足で、自分の意志で、歩いてここまで来れたんだ。
・幸せは会社員のおかげだと気づく
(どうやら、私は相当恵まれているらしい。幸せらしい)幸せな環境で、自分がずっと生きてきたことを思い知った。そして、その環境こそ、多くの会社員が、スーツの背広にたくさんの責任を背負って働いてきてくれたからこそあったものだと知った。
・自分の死が隣にある
事の真相は、薬漬けの犯人が、借金返済のために人生をかけたバスジャック。(中略)死を想像した瞬間は、僕にいろいろな思いを巡らせた。(家族を守らないと。生きて帰らないと。娘にこの事をネガティブな記憶として残してはいけない)
③ 世界一周を終えて
・最大化される
「人間は、自分が知っている中からしか選べない。だからこそ僕はこれからも、一歩を踏み出し、様々な人に出会って、耳を傾けて、自分の中に、様々な選択肢や種をストックしていきたい。ただ一度の人生、せっかくなら自分を最大化したい。
素直に、彼らをそして宗教を、もっと理解したいと思った。まったく興味のなかったことも、目の前にすれば、自分ごとのように感じることができる。こうやって、少しずつ自分ごとの幅は広がっていく。それが、人間の幅を広げるってことなんだと思う。
・ 普通の人でも、いつでも夢は叶えられる
普通の人でも決断すれば、「夢は叶う」。(中略)10年程働いてから世界に旅に出たことで、学生の時よりも、知り得る情報が何倍にもなったと私は思う。
読み終えてのまとめ
全体的に文章につたなさを感じますが、良く言えば読みやすい文章でした。学生、社会人、夫婦、家族。様々な視点で描かれるそれぞれの旅。その中でも最も印象深かったのは「社会人」。やはり自分と同じ境遇でした。
この本を読むまでは、「世界一周はもういけない。それは時間がある学生だからできることなんだ」そう思っていました。しかし、そんなことはない。学生とは異なる価値観を積み重ねている今だからこそ、感じられるものがある。「この時じゃないとダメだ!」なんてことはなく、むしろ多くの人とは異なる境遇からの旅立ちの方が価値が大きいのだということに気づかされました。
この本には15人15色の旅があります。きっとあなたは私とまったく異なるエピソードが印象に残るでしょう。しかしただ一つ言えることがあります。この本を読めば旅立てなかったことに対する後悔はなくなり、そして「いつか旅立とう」と前向きな気持ちを抱けるようになるでしょう。
世界一周の夢を、捨て切れない人必見の本です。
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僕らの人生を変えた世界一周
TABIPPO いろは出版 2013-12-26
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